焼付塗装
焼付塗装とは、溶剤塗装と粉体塗装両方に使われる方法で、それぞれ専用の焼付塗料を使用し乾燥炉で100℃~200℃で熱を加え塗料を硬化させ、その後冷えることで金属と完全に固定されます。そのため、専用の乾燥炉が必要であったり専用の機械が必要であったりと初期費用にかなりコストがかかります。その分メリットも大きく、乾燥時間が早く大量の物量を短納期で行う事が出来たり、塗料を焼き付けることで塗膜の硬度が高く耐久性に優れ、艶も出るため美観も優れています。
焼付塗装の可能な素材
鉄・アルミ・ステン・真鍮・亜鉛大キャスト・アルミダイキャスト
焼付塗装出来ない素材
ABS樹脂・ナイロン・ポリカーボネート・塩化ビニル・カーボン等
塗料の種類
メラミン樹脂塗料
焼付塗装の中で最も使われている塗料がこのメラミン樹脂塗料です。このメラミン樹脂は有機化合物のメラミンを主な素材としホルムアルデヒド等と結合した樹脂塗料で、金属製品に多く使われており、塗膜を比較的厚くすることが出来る為、光沢や艶のある高級感のある美観に仕上がります。また比較的ほかの塗料と比べると安価なのが特徴ですが、紫外線に弱く長期間さらされていると白化するという特徴も持っています。そのため、屋外で使用するものには不向きで、ロッカーやスチール棚等の屋内で使用するものに多く使われています。
アクリル樹脂塗料
このアクリル樹脂塗料も、焼付塗装の中では多く使われており金属製品に対応しています。この塗料は、対候性や耐食性が高く、外部環境に強い事が特徴で、看板や建築資材、工業製品や屋内外の金属製品と幅広く使われています。ただメラミン樹脂塗料より若干コストがかかることと、膜厚がつきづらいという特徴もあります。
フッ素樹脂塗料
フッ素樹脂塗料はフッ素と炭素が組み合わさって出来た塗料です。フッ素樹脂は紫外線や雨の影響を受けにくい優れた耐候性をもっている為、屋外で使用するものや長期の耐久性を求められる場面に適しています。また色々な化学物質に対する耐性があり、酸、アルカリ、溶剤などの薬品に対しても優れた耐久性があります。その他にも、フッ素樹脂は滑らかな表面を形成し粘着性が低い為、汚れや付着物がつきにくかったり、耐摩耗性・美観にも優れている為、メンテナンスのしにくい高層ビルやドームや駅などで多く使われています。ただし、高性能なだけにコスト面では他の塗料に比べ高くなります。
エポキシ樹脂塗料
エポキシ樹脂塗料は、プライマーとして下塗りで非常によく使われている塗料です。塗膜と素材の密着性が非常に高く接着材として、また酸素や水の透過性が低く防錆力もあり錆止めとして使われたり、硬度が高く耐摩耗性にも優れ、油や薬品にも強い耐薬品性も兼ね備えています。ただし対候性が低く、色や艶にも制限がある為、主に下塗りで使われます。
焼付塗装のメリット・デメリット
焼付塗装のメリット
- 耐久性が高い: 高温で焼付けることにより、塗膜が素材としっかりと密着し、塗装表面が硬く仕上がるため傷や摩耗に強くなります
- 乾燥速度が速い:短い時間での焼付による強制乾燥をした後、粗熱が冷めれば梱包・積込みが出来る為、短納期に対応が可能になる
- 美観がいい:塗装方法によって塗膜を均一に保つことが出来、美しい仕上りにすることが出来る。
- 環境への配慮:低VOC(揮発性有機化合物)の塗料を使用できるため、環境への影響が比較的少ない
焼付塗装のデメリット
- コストがかかる:焼き付ける為の専用の道具・設備が必要になる。特に大型の設備になると高額の導入費用や加熱する為のガス代などの費用が発生します。
- 素材が制限される:金属などには適していますが、プラスチック等高温に耐えられない素材には適していません
弊社の工場では、180℃まで対応できる大型乾燥炉コンベアライン(高さ3.5m・長さ11m・はば3.5m)の設備があり、大量ロットのものから大型の1点ものまで対応可能です。また専門知識を持った職人もいますので、鉄・アルミ・ステンレス等の素材や形状・納期等に対してどの塗料で塗るのが適しているのか等、分からない点がありましたら一度ご相談いただけたら提案させて頂きます。